デザインの仕事をしていて、最近よく思うことがあります。

私は絵を描いているわけでも、かっこいいものを作っているわけでもないのかもしれないな、と。

じゃあ何をしているのか。

一番近い言葉を探したら、「翻訳」でした。

依頼を受ける時、多くの人は完成形を持っていません。

「こんな感じにしたい」

「優しい雰囲気で」

「たくさんの人に来てほしい」

「なんとなく明るい感じ」

そんな言葉からスタートします。

でも、そのままではチラシにもポスターにもなりません。

だから私は話を聞きます。

何を伝えたいのか。

誰に来てほしいのか。

どんな思いで始めたのか。

時には雑談みたいな話の中からヒントを探します。

すると少しずつ見えてくるんです。

依頼者さん自身も気付いていない本当の思いが。

それを色にしたり、写真にしたり、文字にしたりして形にしていく。

だから私はデザインというより、翻訳をしている感覚に近いんです。

日本語を英語に変える翻訳ではなくて、

「思い」を「伝わる形」に変える翻訳。

こども食堂のチラシもそう。

音楽イベントのポスターもそう。

名刺やロゴもそう。

作っているものは違っても、やっていることは同じです。

依頼者さんの頭の中にあるものを、見た人に伝わる形へ変換している。

だから面白いし、難しい。

時々、「こんな感じ!」と言われることがあります。

その瞬間は嬉しいですね。

なぜなら、ちゃんと翻訳できたということだから。

逆に、どれだけ綺麗なデザインでも、思いが伝わらなければ意味がありません。

デザインの本当の役目は飾ることではなく、伝えること。

私はそう思っています。

だから今日も、誰かの思いを聞きます。

言葉にならない気持ちを探します。

そして少しでも伝わる形に変えていく。

デザイナーというより、翻訳家。

最近はそんな仕事なんじゃないかなと思っています。