70歳を過ぎると、会社の名刺から卒業するタイミングが来るらしい。
長く使ってきた肩書きや役職から離れて、「個人」として人とつながっていく時間。
最近、その流れなのか、個人名刺の依頼をちょこちょこいただくようになった。
これがまた、すごく面白い。仕事用の名刺と違って、縛りがほとんどない。
趣味を前面に出したり、好きな色を思いきり使ったり。「こんなの入れちゃう?」っていう遊びもどんどんできる。
お互いにやりたい放題で、でもそれがちゃんと“その人らしさ”になっていくから不思議。
会社名や役職がなくても、その人の人生や価値観はちゃんとある。それをどう一枚に落とし込むかを考える時間は、デザインとしてもすごくやりがいがある。むしろシンプルだからこそ、ごまかしがきかない。その人自身がそのまま出る。
そしてやっぱり、名刺があると楽なんですよね。どんなに短い挨拶でも、「これで連絡して!」ってスッと渡せる。それだけで、関係がちゃんと続いていく感じがある。スマホで連絡先を交換するよりも、少しだけ温度が残る気がするのもいい。
一瞬の出会いを、ちゃんと次につなげるための小さなツール。でもそこには、その人のこれまでと、これからがぎゅっと詰まっている。
会社の名刺を卒業して、自分の名刺を持つ。なんだかそれって、新しいスタートみたいでいいなと思う。
そんな一枚を、一緒に作れるこの仕事、やっぱり好きだなあと思う。
