初めて会う人のフライヤーを作るとき、いつも少しだけ緊張する。

まだその人のことをよく知らない状態で、「らしさ」を形にしていく作業だから。でも同時に、その過程がとても面白いとも思う。

まずは、その人のCDジャケットを見せてもらったり、実際に音楽を聴いたりするところから始める。どんな色を使っているのか、どんな空気感なのか、どんなリズムで、どんな余白があるのか。目と耳の両方で、その人の世界に少しずつ触れていく。

不思議なもので、しばらく向き合っていると、なんとなく輪郭が見えてくる。「あ、この人はアートが好きなんだな」とか、「シンプルな中にこだわりがある人だな」とか。言葉にされていない部分が、デザインのヒントになっていく。

そう感じたときは、思いきってアーティスティックな方向に振ることもある。余白を大胆にとったり、少しクセのあるレイアウトにしたり。逆に、ストレートな表現が似合う人なら、無駄を削ぎ落としてシンプルに仕上げる。

デザインって、ただきれいに整えるだけじゃなくて、その人の空気や温度をどうやってすくい上げるかだと思う。だから、最初の「はじめまして」の時間がとても大事になる。

直接たくさん話せなくても、作品や音楽が語ってくれることは多い。むしろそこに、その人の本音がにじんでいる気がする。

まだ知らない誰かのことを想像しながら、一枚のフライヤーを作る。その時間は、ちょっとした対話みたいで、やっぱり好きだなと思う。