デザインの世界でよく耳にする「トンマナ」って言葉、ご存じですか?
正式には「トーン&マナー」の略で、デザインや文言に一貫性を持たせるルールのこと。ちょっと堅い響きですが、実は私たちが日常で見ている広告や広報物、チラシやお便りなんかにも、しっかりとトンマナは生きています。

私の仕事で多いのは「お便り系の印刷物」。地域のお知らせや企業のニュースレターなどですね。ここでトンマナが崩れてしまうと、「なんだか読みづらいな」「前回と雰囲気が違うな」と、無意識のうちに違和感を与えてしまいます。逆に統一感があると、読む人に安心感や信頼感が生まれるんです。

例えば、毎月届くお便り。見出しの色やフォントがそろっているだけで「あ、またこの団体からだな」とすぐに分かるし、親しみも増します。その積み重ねが、やがて“ブランド力”になっていくんですよね。ブランドと聞くと大企業の話のように思えますが、実は地域活動や小さな団体にとっても、とても大切なものなんです。

もちろん、毎回同じでは飽きてしまうので、時には変化も必要です。でもそれは「ここはあえて変える」という意図があってこそ効果的。気まぐれに変えるのではなく、ベースの一貫性を守りつつ変化をつけることが、デザインの面白さでもあり、難しさでもあります。

「トンマナ」と聞くと専門的な用語のように感じますが、要するに“そのらしさを守る工夫”なんです。目には見えにくいけれど、デザインの印象を大きく左右するもの。お便りやチラシを手に取った人に「なんかいいな」と思ってもらえるように、今日もトンマナを大切にしながら作っています。