月に一度、絵画教室で子どもたちと絵を描いています。

普段はグラフィックデザインの仕事をしていますが、この教室の時間は少し違った意味で大切。

「描かせる」のではなく「引き出す」ことが、私の役割です。

デザインの現場では、相手の要望や思いを汲み取りながら、形にしていく。

でも、子どもたちの場合は、もっと感覚的で、自由です。

その中にある「光る瞬間」を見つけるのが、私の楽しみであり、教える上での目標でもあります。

正直、4回ぐらい描くと、子どもたちは飽きてきます(笑)

だからこそ、最初の一枚に全力を注げるような、ワクワクするテーマやモチーフを探して、

「こうしてみたら?」と、あくまでも提案のスタンスで向き合います。

指導というよりアートディレクションに近い感覚。

「これ、ポスターに使えるな」

そんなふうに思えるレベルまで持っていけたら、私の中ではひとまず完成。

それ以上、無理に手を加えたり、上手に見せようとしたりはしません。

子どもたちが描いた線や色は、ときに驚くほど力強く、説得力がある。

それはデザイナーがいくら丁寧に構成を考えても生み出せない類のパワーです。

絵画教室で得る発見や刺激は、私のデザインの仕事にも確実に活かされています。

どこまでが導きで、どこからが本人の力なのか。

その境界線を見極める目を持ち続けるためにも、

この時間はとても貴重なのです。