今日は月に一度の絵画教室の日。
児童養護施設で子どもたちと一緒に絵を描く時間は、デザインの仕事とはまた違った集中力と楽しさがあります。
「自由に描いていいよ」と言うと、みんな思い思いに筆を走らせて、色を重ねていきます。
大人になると「自由に」って実は一番難しいけど、子どもたちは迷いなく、夢中になって描いていく。
その姿を見ていると、こちらが教えられることばかりです。
ふと、「この中に、将来絵本作家になる子がいたらいいな」と思いました。
言葉にするのが苦手な子も、絵なら伝えられることがある。
自分の中の世界を、誰かに届けたいと思う気持ちが、もしかしたら今のこの時間に芽生えているかもしれない。
私は今グラフィックデザイナーという肩書きで仕事をしているけど、ふと思い出したのが、エリック・カールやレオ・レオニ。
彼らもグラフィックデザイン出身で、後に世界中の子どもたちに愛される絵本作家になりました。
最初から絵本作家を目指していたわけではないはず。
でもきっと、「誰かに届けたい」という気持ちが、いつか形になったんだと思います。
私自身、将来どうなっていくかなんてわかりません。
でも、こうして子どもたちと絵を描く時間が、私の中にも何か種をまいてくれているような気がします。
たとえば、いつか“絵本”というかたちで、今の経験が実を結ぶ日が来たらいいなとも思う。
デザインと絵。
表現のかたちは違っても、伝えたい気持ちは同じ。
今日もまた、その気持ちを大切にしながら、子どもたちと一緒に絵を描いてきました。