デザイナーという仕事をしていると、毎年決まった案件を担当することがあります。たとえば、年に一度発行されるチラシやパンフレットなど。

去年とまったく同じデータを使い、同じ印刷会社に、同じ設定で入稿しているのに、なぜか「今回の印刷、なんか違う?」ということがあるんです。

仕上がりの画質が悪くなっていたり、色味が微妙に違ったり。

いったいどこで変わったのか分からない。でも、たしかに違う。そんな時がある。

こういうとき、対応してくださるお客さんの“人柄”が、びっくりするほど浮き彫りになります。

「次は気をつけてね」と優しく言ってくださる方もいれば、

「なんでこんなことになってるんだ!」と怒りのメールを送りつけてくる方も。

最初から「できるだけ安く」と言っていた方に限って、トラブル時の反応が大きかったりします。

正直、どんなに気をつけていても、完璧にいかないことはあります。

でも、その失敗をどう受け取ってくれるかで、

「この人と今後も仕事をしたいかどうか」がはっきり見えるんですよね。

もちろん、こちらの責任であることは重々承知しているし、

反省も改善も、ちゃんとします。

でも、感情的にぶつけられると、ただただ辛い。

一方で、「一緒に解決しよう」と向き合ってくれる人には、

もっと応えたくなる。それが人間です。

失敗って、実は“人間関係のリトマス紙”なのかもしれません。

本性が出る場面で、信頼関係が本物かどうかが見えてくる。

だから私は、価格や納期のことだけでなく、

「この人といい関係で仕事できるか」も大切にしています。

失敗が教えてくれるのは、デザインの改善点だけじゃなく、

人とのつながりの深さや、仕事の本質なのかもしれません。