「デザインの仕事って、在宅でできるなんていいね」って、よく言われます。

確かに自宅でパソコンを開けばすぐに仕事ができるのは強み。移動の時間もないし、家事や子育てと両立できるのはありがたいです。

でも実際は「在宅…?ほんとに?」って思うくらい外に呼ばれることも多いんです。

クライアントさんから「紹介したい人がいるから、ちょっとランチだけ」なんて声をかけていただいたり、新しいご縁が広がる場に顔を出したり。気づけば予定表は“在宅ワーク”とは言えないほど外出マークで埋まっています。

不思議なもので、そういう時間があるからこそ仕事に厚みが出る気がします。人と会うと刺激をもらえるし、相手の空気感や価値観を知ることでデザインに生きてくることも多いんです。机の前で黙々と作業する時間と、人に会って過ごす時間。その両方が仕事のバランスを取ってくれているように思います。

ただし「自由な働き方」という点で言うと、時間はかなり自由。朝に納品して、昼間は子どもの学校行事に参加して、夜にまた作業を進める。そんなリズムも普通にできます。会社員時代には想像できなかったことです。

でも私は主婦でもあるので、どうしても生活の中心には「子ども」がいます。朝起こす、ご飯を作る、送り出す。これが当たり前の日課。きっとあと10年もすれば、その役割も終わりに近づいてくるのでしょう。そうなったら――ほんとうの意味での「自由な時間」がやってくるのかもしれません。

在宅デザインの仕事は「家にいながら働ける」ことが魅力だと思われがちですが、実際は外に出て人とつながり、時に主婦としての時間と組み合わせて、自由に形を変えていける仕事。これが私にとって一番心地いいスタイルなのかもしれません。