この夏は本当に暑すぎる。外を歩くだけで、溶けそうになるし、頭もぼーっとしてくる。そんなある日、子ども食堂でお鍋をお借りしているレストランへ、久しぶりに食事に行ってきました。どれを食べても間違いなく美味しいお店で、料理の丁寧さや素材の選び方から、シェフの人柄まで伝わってくるような、そんな場所です。
食後に少しシェフと話す時間があり、メニュー作りのことを聞いてみました。すると「秋だからモンブラン、なんて固定観念で考えないんです。その日の温度や天気、お客さんがどういう気分で来ているか。そういう空気を読みながら、今日はこれがいいかなって決めていくんですよ」と話してくれました。なるほど、確かに今日のように体にまとわりつくような暑さの日には、濃厚なものよりスッと入るものを求めてしまう。お客さんの体が欲しているものを汲み取りながら料理をする姿勢は、まさにデザインと同じだなと感じました。
「一緒じゃーん!」と心の中で思いました。デザインもまた、相手や状況をよく観察し、そのときに必要とされているものを形にする仕事。理屈だけではなく、その場の空気や人の気持ちを感じ取り、言葉や形に落とし込んでいく作業です。
料理とデザイン、ジャンルは違えど大事にしていることは同じ。そんな気づきをもらえたのも、気さくに話をしてくれるシェフのおかげです。料理人って、黙々と作るイメージが強いけれど、こうして「なぜこの一皿なのか」を語ってくれる人は、実はとても少ない。だからこそ貴重でありがたい。
暑すぎる季節に、ちょっとした会話からも涼やかな学びをいただいた気がしました。食べることもデザインも、やっぱり「人の体感に寄り添うこと」が一番大事なんだなと改めて思います。