最近「生成AIを使ってデザインしました」という話をよく耳にします。イラストやロゴ、レイアウト、キャッチコピーまで、とにかく“なんでもAIで作れる時代”になってきました。確かに便利ですし、時間の節約になるのは間違いありません。モデルを雇わなくてもいいし、文章だってサクッと整えてくれる。世の中の流れとして「AIをどう活用するか」は避けて通れないテーマだと思います。

でも、私は「うちは使いませんよー」と宣言しておきたいタイプです。なぜなら、AIでつくられたデザインは、やっぱりすぐにわかるんです。整いすぎているというか、感情の揺らぎや人間らしい“ムラ”が欠けている。もちろん便利さは絶対にあるし、効率やスピードを重視するならAIの方がいいに決まっています。でもそれだけでは伝わらない部分があると、私は思っています。

デザインというのは、単に「見栄えを整える作業」ではなく、そこに至るまでの労力や経験、人とのやり取りが反映されるものです。依頼してくれた人の思いや背景を聞いて、それを形に落とし込む。そのプロセス自体が価値であり、完成したデザインに深みを与える部分だと思うんです。AIはその「人の想い」を理解して表現するのがまだまだ難しい。だからこそ私は、そこにこだわりたい。

ただ、価格破壊が起きるのも当然の流れです。AIで一瞬で作れてしまうものに、今までの制作費をかける人が少なくなるのは仕方ないこと。みんな「お金より時間」を優先しますからね。それもまた時代の選択なのだと思います。

それでも、私は人と人が関わり合って生まれるデザインを続けたいと思っています。AIが出せない“らしさ”や“温度感”を、これからも大事にしたい。生成AIが普及する中だからこそ、手で紡いでいくデザインの価値をもっと発信していけたらいいなと思っています。