絵画教室の話って、一見デザインとはかけ離れているように思われがちですが、

実はデザイナーにとって通らなきゃいけない道のような気がしています。

子どもたちと過ごす時間の中で気づくことが、

自分の仕事のヒントになっていたり、

忘れていた感覚を思い出させてくれたり。

「これどうしてこうなるの?」とか、

「なんで青の上に黄色をのせたの?」と聞くと、

子どもたちはまっすぐな目で「その方が楽しいから」と答えます。

それだけで、もう十分。

理由なんていらないんですよね。

デザインの現場ではどうしても“正解”を求めてしまう。

クライアントの要望、ターゲット、目的、見やすさ、伝わりやすさ——

たくさんの条件をクリアすることが優先されるけれど、

本当の創造ってもっと自由で、もっとシンプルなんだと、

子どもたちが教えてくれます。

ときどき、「デザインを教える側」じゃなくて

「教えてもらってるのは私の方だな」と思う瞬間があります。

反対向きの考え方をくれるのは、

まっさらな子どもたち。

固定観念を壊してくれる存在です。

結局、デザインも絵も“心を動かす”という点では同じ。

子どもたちの描く線や色づかいの中に、

伝えたい気持ちや喜びがあって、

それを見るたびに自分の中のデザイン感覚がリセットされる気がします。

教えているようで、教わっている。

この循環がある限り、

私はきっとずっとデザイナーでいられるんだと思います。