ちひろ絵画教室をイオン東員でやっているのですが、
子どもたちと過ごしていると、本当にいろんなことを教えられます。
その中でも、ある生徒の言葉が、今でも忘れられません。

 

その子は、なんと「生まれる前のことを覚えている」と言うんです。
いわゆる“天界”の話をよくしてくれて、
聞いていると私のほうが「なるほど…」とうなずいてしまうほど、
神様のことを本当によく知っている。
大人の私が「尊敬しちゃうな」と思うくらい。

 

ある日、その子が突然言ったんです。
「目指すべきは、下だよ。」

 

……え?下?
思わず聞き返しました。
普通、“上を目指す”って言うじゃないですか。
上へ、上へと努力して、成長して、成功して――って。
でも、その子は真顔で言いました。
「下を目指すと、みんなと会えるんだよ。」

 

その瞬間、なんか胸を打たれたんです。
空いた口が塞がらないほどの衝撃。
目指すは“下”――。

 

デザインの仕事をしていても、
「上」を意識することって多いと思います。
トレンドを追ったり、他の人の作品を見て焦ったり、
自分の価値を高く見せようとしたり。
でも、そればかりやっていると、
どんどんしんどくなって、
“人のため”という原点を見失ってしまうことがあります。

 

その子の「目指すは下」という言葉、
それは、みんなと同じ目線で見るということなんだろうなと思いました。
人の暮らしの中にある小さな気づきを拾って、
寄り添うように形にする。
それが私の思う“人の役に立つデザイン”です。

 

上を見すぎず、下に降りて、足元を見て。
今日もまた、教室の子どもたちに教わりながら、
私は“デザインの修行”を続けています。