デザインをしていると、よく言われます。

「もっと情報を入れたい」

「空いてるところがもったいない」

「この余白に何か書けませんか？」

でも、余白は“空白”ではなく“呼吸”なんです。

人間も息が詰まると苦しい。それと同じで、デザインにも呼吸が必要。余白があることで、情報が整理され、読み手は迷わず内容を受け取れるんです。逆に詰め込みすぎると、すべての情報が重なって「何が大事なの？」と伝わらなくなります。

例えば名刺。余白のない名刺は、文字の羅列に見えてしまいます。余白がある名刺は、言いたいことが一つひとつ浮き上がって見える。余白があるから“品”が宿るんです。

パンフレットやリーフレットでは、もっと顕著です。写真の周りに余白があると写真が“見られるもの”になる。文字の周りに余白があると“読まれる文章”になる。余白は、情報の区切りであり、読み手の休憩所。

デザイン初心者の方には「余白は削るもの」ではなく「先に確保するもの」と伝えています。余白は最後ではなく最初に決めるもの。余白が土台です。建築で言えば、柱や壁の位置。そこがズレるとすべてが崩れてしまう。

余白が怖いのは、「何か入れないと不安」だから。でも大丈夫。余白はあなたの味方です。余白があるから、読者は“疲れずに最後まで読んでくれる”。

「余白＝やさしさ」

実はこれが、プロが必ず守る基本のひとつ。

余白はデザインの“呼吸”であり、“品格”です。