パンフレットというものは、一見“読むための資料”に見えるのですが、実際には「どう見えるか」がものすごく重要です。情報量が多いほど、読み手は途中で疲れてしまい、必要なところまでたどり着けません。だからこそ、パンフレットのデザインは“読ませる”より“見せる”を優先します。視線の流れを自然に誘導する設計、これがすごく大事なのです。

人の視線が最初に向かうのは写真です。次に見出し、そのあとキャッチコピー、そしてようやく本文。つまり、「写真 → 見出し → キャッチ → 本文」。この順番の流れを守ると、読み手の負担が一気に軽くなります。デザインの世界でよく言われる「アイキャッチ」は、そのための最初の入口。質の高い写真が用意できると、パンフレットの完成度は半分決まると言っても過言ではありません。

また、パンフレットを作るとき、つい“全部説明したくなってしまう”のも分かります。でも、全部を語るほど、伝わらなくなってしまうのが不思議なところ。必要なのは取捨選択。情報をあえて削る勇気です。「読み手に迷わせない設計」を優先することで、結果的に内容が深く届きます。

そして忘れがちなのが「余白」。日本語では余っているように聞こえますが、デザインでは“呼吸している空間”です。詰め込みすぎると息苦しくなり、離脱ポイントが増える。余白は読む人の心のスペースでもあります。

パンフレットは「読む資料」ではありません。「読みたい」と思わせる資料です。だからこそ、デザインがとても重要。伝えたい想いを“読み手がスムーズに受け取れる形”に整える。それがデザイナーの役割です。